ちっぽけなうさぎのブログ

HSP(HSS)が老年内科医をしています。

認知症を診断する意味

先日、おばあちゃんをアルツハイマー認知症と診断しました。

認知症を診断する意味って何だと思いますか?
認知症は治らない病気です。
老化の一環ともとれます。
わざわざ診断する必要があるんでしょうか。

私は現状と今後の起こりうることを早めに共有して準備をすることができる。そこに意味があると思います。

うちの病院にも、認知症精査目的の患者さんがいらっしゃいます。大抵の人は変わってしまった患者さんに困っているご家族が連れてくることが多いです。
先生によっては診断して薬の話をして終わりにしてしまう人がいます。きっとその人は医学としてしか認知症のことを考えていないんでしょう。

今、本人や家族が困っていたり、今後もっと辛いことが待っている。でもそれは本人のせいじゃないんだよ、認知症という病気のせいなんだよって言ってあげたい。
そして良くなることのない、仕方のないことなんだってことを、できる限り受け容れられるように努めたい。
そして今後はきっとこれぐらい経つとこういうことが起こりますよって、まだ本人も家族も分かっていない部分を早めに教えてあげたい、そうすることで残りの時間はみんなが幸せに過ごせたらいい。

ちなみにうちのおばあちゃんはアリセプトを開始してから怒りっぽさがなくなりました。本人のキッとした怖い顔つきが減って、笑顔が増えて嬉しいし、介護しているママも喧嘩しなくてよくなって、とてもいい感じです。

人生は限りあるものです。いつまでも元気ではいられない。認知症にもなる。でも、永遠ではないからこそ、残された時間をみんなが大切に、苦痛なく過ごせたらいいと思います。

今いるお年寄りたちは、戦後の大変な時代を生き延びた人達です。大変なこともたくさんあったでしょう。そんな中でも今の日本を頑張って頑張って作ってきてくれた人達です。
血の繋がり関係なく、その人達に感謝して、もっと暖かく見守ってあげることはできませんか。

私たちは皆、歳をとります。そんなに邪険にしないでください。