ちっぽけなうさぎのブログ

HSP(HSS)が老年内科医をしています。

医局を離れた理由

私は高齢者医療をやりたくて、医学部に入りました。

そしてその思いは変わらず、卒業後は大学病院の老年科というところに所属しました。

数年経ち、思いは強くなるばかりですが、今はそこからは離れた場所にいます。

 

卒後数年、大学病院の病棟や外来で働き、頭の良いとされる方々の下で、研修医として学びました。しかし、「この人とは同じ考えや目標を持ってる!」と思える人にはついぞ出会うことはありませんでした。これは結構がっかりでした。高齢者医療の粋が集まった場所にすら、私の居場所はないのか、私が叶えたい夢を理解してくれる人はいないのか、と思いました。

そしてもう一つ残念なことがありました。高齢(患)者に対して大学病院ができることは多くない、ということです。

 

今なら期待が裏切られた理由がわかります、私は学問として老年医療をしたかったわけではなく、高齢(患)者のための医療をしたかったのです。大学病院という場所は、それに適した場所ではなかった。あの場所をよしとしている人たちとは分かり合えない。

 

大学病院は私がしたかった医療ができる場所ではないし、医者としての「なりたい私」を育ててくれる場所ではない。

まだ卒後数年の自分がそう判断するのは勇気がいることでした。

医者にとって、「知らないこと」は罪です。医学知識や技術は常に進化し、そのおかげで助かる人がいるから。知らなければ死ぬ人がいるから。

大学付属病院という場所はその点楽ちんです。あくまで、学びの場に付属している病院なので。

若手の医者にとって、医局に属しているというのは一定のステータス?ですよね。ちゃんとしてますよ、という。

そこから離れるというのは、結構覚悟がいることなんです。医者界では「そんなに若いのに医局を抜けたなんて、何かあったの?」と思われる。

(まあ、実際”何も”なかったわけではないんですけど。それはまた別の機会に。)

 

そのあとの場所で、私は自分の居場所をみつけました。

私の実践したい高齢者医療をやらせてくれる先生と環境をみつけました。

お互いの理想の高齢者医療を理解し、分かり合える先生に出会えて心から嬉しかった。し、私がそこで実践した医療のおかげで助けられたと感じてくれている患者さんもいると思う。

高齢者医療にだって、学術は大事です。でもほかの分野比較すると重要度は下がると思う。

必ずしも、大学病院がベストじゃない。医療者にとっても、患者にとっても。

 

じゃあ私の考える高齢者医療に大事なことってなんなのか、って話はまた今度整理します。